お知らせ

後悔

僕は今までの人生に後悔はひとつもない。

今が幸せだからだ。

充実しているからだ。

だから明日死んでも、無念だが、後悔はない。

ラオウのように、

『我が人生に一片の悔い無し』

と言えると思う。

挫折や失敗もたくさんしてきたが、

その過程があったからこそ今の自分がある。

過去に捉われず、今を充実させることに

注力する。

そうすることでネガティブな過去も

ポジティブに変換してきたとも言える。

 

だが1つだけ、どうしてもポジティブに

捉えられない事がある。

人の死だ。

 

3月31日、僕の祖母が亡くなった。

97歳だから大往生だ。

最期までボケもせず、ほとんど人の

世話になることもなく逝った。

「あとはもうお迎えが来るのを待つだけよ。
早く父さんのところに行きたい」

といいながら薬用養命酒やアリナミンを

グビグビ飲む元気で面白い人だった。

 

そんな祖母が元気がなくなっていると聞いて

つい先日、会いに行った。

 

久しぶりに見る祖母は見るからに瘦せこけ、

最期が近いのは明らかだった。

「ばぁちゃん、おれが誰だかわかるかい?」

「わかるよ。創思やろが。」

大したばぁちゃんだ。

こんなになっても意識も頭もはっきりして

いる。

短い時間だったがひとしきり話をすること

ができた。

多分、これが最期になるだろう。

「じゃあばーちゃん、そろそろ行くわ。
また会いにくるから」

「ええそうか。ありがとうね。」

そう言って部屋から出ようした時、

「あたいを起こしてくれんな!」

突然祖母が言った。

ドキッとするくらい強い口調だった。

いやいやばーちゃん、起きると疲れるから。

また会いに来るから横になっててな。

となだめると、ええそうか、分かった。と。

だが再び僕が部屋を出ようとすると、

「あたいを起こしっくいやい!」

さすがに言葉に詰まった。

再びなだめて部屋を後にしたが、

なんとも後味が悪い。

祖母には幼い頃から随分と可愛がって貰った。

これが最期だと悟って、もっと話がしたかった

のかもしれない。

同じ目線で、きちんと別れがしたかった

のかもしれない。

後ろ髪を引かれる思いで帰路につきながら、

生きているうちにもう一度会いに行こうと

思った。

 

そして31日朝、祖母は亡くなった。

この日、僕は仕事が終わったら会いに行く

つもりでいたが、祖母は待ってはくれな

かった。

あたいを起こしてくれんな、と訴える

祖母の姿が頭に浮かんだ。

昨日会いに行こうと思えば行けたのに。

実際、昨日行こうか迷った挙句、今日に

先送りした。

もう二度と話すことはできない。

僕は激しく後悔した。

 

やりたい事があるなら、今すぐやるべきだ。

会いたい人がいるなら、すぐにでも会いに

行くべきだ。

たった1日先送りしたことで、

僕は祖母との別れの機会を永遠に失った。

この心残りは一生残るだろう。

 

祖母との最期となったあの日、

「97年間、どんな人生だった?」

僕がこう聞くと、祖母は笑ってこう言った。

「楽しかったよ。お前もきばれね。」

 

僕も、楽しかったと言って死にたい。

祖母との別れを胸に刻み、これからも

僕は一瞬一瞬を大切に歩んでいく。

後悔のない人生を。

 

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